症状

胃もたれ

■ 胃もたれを引き起こす主な鑑別疾患(11選)

それぞれの疾患の詳しい内容は病名をクリックして疾患ページをご覧ください。

 

1. 逆流性食道炎(GERD)

・男女問わずどの年齢でも発症するが、中高年男性にやや多く、脂っこい食事や肥満、加齢が関与。

・胸やけや喉の違和感、咳を伴うこともあり、胃酸の逆流が原因。

・【検査】胃カメラ。

 

2. 慢性胃炎萎縮性胃炎

・40歳以上の方に多く、ピロリ菌感染と関連。

・胃の粘膜が長期的に炎症を起こし、食後の膨満感や胃痛を招く。

・【検査】胃カメラ、血液検査(ピロリ抗体検査)。

 

3. 急性胃炎急性胃粘膜病変

・暴飲暴食や薬剤、ストレスで胃粘膜が一時的に炎症を起こす状態です。

・胃もたれ、胃痛、悪心、時に吐血がみられ、突然の発症が特徴です。

・【検査】胃カメラ、血液検査(炎症反応、貧血)。

 

4. 胃潰瘍十二指腸潰瘍

・働き盛りの男性に多く、ストレスやピロリ菌、NSAIDsの使用が誘因。

・胃痛、空腹時痛、黒色便を伴う場合も。出血や穿孔のリスクがある。

・【検査】胃カメラ、血液検査(ピロリ抗体検査)。

 

5. 機能性ディスペプシア(FD)

・比較的若年〜中高年層に多く、男女ともに発症。

・胃カメラでは異常が見られないにもかかわらず、胃もたれや食後の不快感、早期膨満感が続く。

・【検査】胃カメラ、血液検査、腹部エコー(超音波)、腹部CT、大腸カメラ。

 

6. 胃がん

・50歳以上でリスク増、特に萎縮性胃炎やピロリ菌感染歴がある方。

・初期は無症状だが、進行とともに胃もたれや体重減少、食欲低下が出現。

・【検査】胃カメラ、組織検査、血液検査(腫瘍マーカー:CEA、CA19-9)、腹部エコー(超音波)、腹部CT。

 

7. 胆石症胆嚢炎

・中高年女性に多く、脂肪食後に胃もたれや右上腹部痛を伴う。

・背中や肩に放散する痛みや発熱を伴うことも。

・【検査】腹部エコー(超音波)、CT検査、血液検査(炎症反応、肝機能)。

 

8. 慢性膵炎急性膵炎

・アルコール多飲歴のある中年男性に多く、胃もたれに加え強い上腹部痛が特徴。

・背部痛、嘔吐、食欲不振を伴い、急性では緊急対応が必要。

・【検査】血液検査(アミラーゼ・リパーゼ・炎症反応)、腹部CT、腹部エコー(超音波)。

 

9. 胃排出障害(胃の運動機能低下)

・糖尿病合併症や自律神経障害のある患者に多い。

・食後の胃もたれや嘔気が強く、食事量に比例しない膨満感を感じる。

・【検査】胃カメラ、血糖コントロール評価。

 

10. 過敏性腸症候群(IBS)・ガス過多症

・20〜40代に多く、やや女性が多い。ストレスが大きく関与。

・胃もたれ感に加え、下腹部痛や便通異常(便秘・下痢)が特徴。

・【検査】大腸カメラ、腹部レントゲン。

 

11. 心疾患(狭心症心筋梗塞)※消化器疾患以外の重要な鑑別

・中高年、特に男性に多く、胃の不快感や圧迫感として自覚されることがある。

・胸痛を伴わず、胃もたれ様の症状のみで発症する「無痛性狭心症」も。

・【検査】心電図、心エコー、血液検査(心筋酵素)。


■ 補足事項

胃もたれは「一時的な不快感」と捉えられがちですが、背景に重篤な疾患が隠れている可能性もあります。特に中高年で症状が持続する場合や、体重減少、嘔吐、貧血、黒色便などを伴う場合は、速やかな専門的検査が必要です。