左下腹部痛・左側腹部痛

大腸壁の憩室に炎症が起こり、左下腹部の持続痛、発熱、排便異常を引き起こします。
中高年に多く、高脂肪・低食物繊維の食生活がリスク因子とされています。
【検査】腹部CT、血液検査（白血球、CRP）、大腸内視鏡（回復期に実施）。

ストレスや生活習慣の乱れにより、便通異常と左側腹部〜下腹部の不快感・痛みがみられます。
20〜40代の女性に多く、排便後に症状が軽減するのが特徴です。
【検査】大腸内視鏡（除外診断）、便検査、腹部X線。

便の滞留により左側の下腹部に張るような鈍痛を感じることがあります。
高齢女性に多く、水分・食物繊維不足、運動不足が影響します。
【検査】腹部X線、腹部触診、排便造影、大腸内視鏡（除外目的）。

排卵時の出血や嚢腫のねじれにより、突然の左下腹部の鋭い痛みが出現します。
妊娠可能年齢の女性に多く、嘔気や月経周期との関連がみられます。
【検査】経腟超音波、血液検査（貧血・炎症）、妊娠反応検査。

月経に関連して左下腹部痛や鈍痛が現れ、性交時痛・排便時痛を伴うこともあります。
20〜40代女性に多く、慢性的な骨盤痛の原因にもなります。
【検査】経腟超音波、MRI、腫瘍マーカー（CA125など）。

左側腹部から鼠径部へ放散する激しい痛み（疝痛）と血尿が特徴です。
30〜50代の男性に多く、脱水や運動後に誘発されやすい傾向があります。
【検査】非造影腹部CT、尿検査（潜血）、腹部超音波。

腎臓の感染により、左季肋部〜左側腹部にかけて痛み、発熱、排尿時痛が生じます。
女性に多く、膀胱炎からの波及が主な原因です。
【検査】尿検査、尿培養、血液検査（白血球・CRP）、腎エコー。

腸への血流が一時的に障害されることで、左下腹部痛と下血が突然出現します。
高齢者や便秘気味の中年女性に多く、血圧低下・動脈硬化も関連します。
【検査】大腸内視鏡（回復期に実施）、CT、血液検査（炎症反応）。

左側の腸管で通過障害が起こると、左側腹部に膨満感や痛みを伴うことがあります。
手術歴のある方や高齢者に多く、悪化すると吐き気・嘔吐も加わります。
【検査】腹部X線、腹部CT、血液検査（電解質異常、炎症）。

体幹の筋肉や肋間神経の炎症で、左側腹部〜背部にかけて運動時痛が現れます。
年齢を問わず見られ、外傷や不良姿勢、ストレスも誘因となります。
【検査】身体診察、必要に応じてX線・MRI・超音波検査。

左下腹部痛・左側腹部痛は、大腸・泌尿器・婦人科・腎臓・筋骨格など多様な臓器に由来しうるため、**痛みの性状（急性か慢性か）、随伴症状（発熱、下血、便通異常、月経異常など）**を丁寧に評価し、的確な検査の組み合わせで原因を見極めることが重要です。