症状
倦怠感・だるさ
■ 倦怠感・だるさを起こす主な鑑別疾患(全10選)
1. 肝炎・肝硬変(MASH/MAFLD)
肝機能の低下により代謝障害が生じ、全身の強い倦怠感・食欲不振・黄疸が出現します。
ウイルス性肝炎・アルコール多飲・肥満が原因となり、中高年に多くみられます。
【検査】肝機能(AST・ALT・ビリルビン)、腹部超音波、ウイルスマーカー。
2. 糖尿病
血糖コントロール不良により細胞へのエネルギー供給が低下し、倦怠感・口渇・多尿が出現します。
中高年に多く、肥満・家族歴・運動不足が危険因子です。
【検査】血糖・HbA1c、尿検査(尿糖・ケトン体)、75g経口ブドウ糖負荷試験。
3. 甲状腺機能低下症(橋本病)
甲状腺ホルモンの不足により代謝が低下し、倦怠感・むくみ・体重増加・寒がりが出現します。
中高年女性に多く、動作緩慢・便秘・皮膚乾燥・集中力低下を伴います。
【検査】甲状腺ホルモン(TSH・FT4)、抗TPO抗体、甲状腺超音波。
4. うつ病・慢性疲労症候群
精神的・身体的ストレスにより、気力の低下・強い疲労感・睡眠障害が慢性的に続きます。
全年齢に見られ、気分の落ち込み・意欲減退・頭痛・筋肉痛を伴うことが多いです。
【検査】問診・心理評価、血液検査(甲状腺・貧血・肝腎機能など除外)。
5. 貧血(鉄欠乏性・悪性貧血)
酸素運搬能の低下により、強い倦怠感・動悸・息切れ・頭痛が出現します。
月経のある若い女性・消化管出血のある方・高齢者に多くみられます。
【検査】血液検査(Hb・MCV・血清鉄・フェリチン・ビタミンB12)、便潜血検査。
6. 心不全・心房細動
心臓のポンプ機能低下や不整脈により全身への血流が減少し、倦怠感・息切れ・むくみが出現します。
高齢者・高血圧・弁膜症のある方に多くみられます。
【検査】心電図、心エコー、BNP、胸部X線、ホルター心電図。
7. インフルエンザ・COVID-19後遺症
急性感染症後または後遺症として、数週間〜数ヶ月にわたる強い倦怠感・ブレインフォグが続きます。
全年齢に見られ、息切れ・集中力低下・睡眠障害を伴うことが多いです。
【検査】抗原検査・PCR(急性期)、血液検査(炎症反応)、必要に応じて胸部CT。
8. 悪性腫瘍(がん全般)
腫瘍の代謝亢進や炎症性サイトカインの産生により、進行性の倦怠感・体重減少・食欲不振が出現します。
中高年に多く、局所症状(腹痛・血便・咳など)を伴う場合は精密検査が必要です。
【検査】腫瘍マーカー、胸腹部CT、内視鏡検査、血液検査(炎症反応・貧血)。
9. 慢性腎臓病・腎不全
腎機能の低下による老廃物の蓄積(尿毒症)が全身の倦怠感・食欲不振・浮腫・呼吸困難をもたらします。
高血圧・糖尿病・高齢者に多く、進行性の腎機能悪化が特徴です。
【検査】腎機能(クレアチニン・eGFR・BUN)、尿検査(蛋白・潜血)、腎超音波。
10. 副腎不全・電解質異常
副腎皮質ホルモンの不足や電解質(ナトリウム・カリウム)の異常により、強い倦怠感・低血圧・消化器症状が出現します。
ステロイド長期服用歴のある方や他の内分泌疾患を持つ方に注意が必要です。
【検査】血液検査(電解質・コルチゾール・ACTH)、尿検査、必要に応じてACTH負荷試験。
■ 補足
倦怠感・だるさは肝臓・内分泌・血液・心臓・腎臓・精神など非常に幅広い疾患で生じます。特に急速に進行する倦怠感・体重減少・発熱・黄疸・浮腫を伴う場合は、悪性疾患や臓器不全の可能性があり、速やかな精密検査が必要です。