症状

食欲不振

■ 食欲不振を起こす主な鑑別疾患(全10選)

1. 胃がん

初期は無症状のことが多く、進行とともに食欲低下・体重減少・胃もたれが出現します。
50歳以上に多く、ピロリ菌感染歴や萎縮性胃炎のある方はリスクが高いです。
【検査】胃内視鏡、組織生検、腫瘍マーカー(CEA・CA19-9)、腹部CT。


2. 機能性ディスペプシア(FD)

器質的異常がないにもかかわらず、食後の早期膨満感・食欲不振・みぞおちの不快感が続きます。
20〜50代に多く、ストレスや胃運動機能の異常が関与します。
【検査】胃内視鏡(除外診断)、ピロリ菌検査、腹部超音波。


3. 慢性胃炎萎縮性胃炎

胃粘膜の慢性炎症により、食欲不振・胃もたれ・食後の不快感が続きます。
中高年に多く、ピロリ菌感染との関連が強いです。
【検査】胃内視鏡、ピロリ菌検査(血液・呼気・便)。


4. 肝炎肝硬変(MASH/MAFLD)

肝機能の低下により、全身倦怠感・食欲不振・黄疸・腹部膨満が出現します。
アルコール多飲・肥満・ウイルス感染歴のある方はリスクが高いです。
【検査】肝機能(AST・ALT・ビリルビン)、腹部超音波、ウイルスマーカー。


5. 急性膵炎慢性膵炎

膵臓の炎症により消化機能が低下し、食欲不振・上腹部痛・体重減少が生じます。
アルコール多飲や胆石が原因で、慢性化すると消化吸収障害をきたします。
【検査】血液検査(アミラーゼ・リパーゼ)、腹部CT、腹部超音波。


6. 糖尿病・甲状腺機能異常

血糖コントロール不良や甲状腺ホルモンの異常が食欲不振・倦怠感・体重変化を引き起こします。
中高年に多く、口渇・多尿・動悸・むくみなど他の全身症状を伴うことがあります。
【検査】血糖・HbA1c、甲状腺ホルモン(TSH・FT4)、尿検査。


7. 大腸がん

進行した大腸がんでは、食欲不振・体重減少・貧血・便通変化が現れます。
50歳以上に多く、便潜血陽性が重要なサインです。
【検査】大腸内視鏡、組織生検、腹部CT、腫瘍マーカー(CEA・CA19-9)。


8. 心不全慢性腎不全

心臓や腎臓の機能低下により、消化管のうっ血や老廃物の蓄積が食欲不振をもたらします。
高齢者に多く、息切れ・むくみ・倦怠感などを伴います。
【検査】心エコー、BNP、腎機能(クレアチニン・BUN)、尿検査。


9. うつ病・精神疾患

精神的なストレスや抑うつ状態により、食欲低下・体重減少・意欲の低下が生じます。
全年齢に見られ、睡眠障害・気分の落ち込み・集中力の低下を伴うことが多いです。
【検査】問診・心理評価、必要に応じて血液検査(甲状腺・貧血など除外)。


10. 薬剤性(副作用)・がん化学療法

多くの薬剤(抗菌薬・鎮痛薬・抗がん剤など)が消化器症状として食欲不振を引き起こします。
高齢者や多剤併用の方に多く、服薬開始・変更のタイミングと症状の関連を確認します。
【検査】服薬歴の確認、血液検査(肝機能・腎機能)、必要に応じて内視鏡。


■ 補足

食欲不振は消化器・肝臓・内分泌・精神・薬剤など非常に幅広い原因で起こります。特に体重減少・黄疸・黒色便・腹部腫瘤を伴う場合は悪性疾患の可能性があり、速やかな精密検査が必要です。