症状
体重減少
■ 体重減少を起こす主な鑑別疾患(全10選)
1. 胃がん・大腸がん
消化管のがんは消化吸収障害や代謝亢進により、著明な体重減少をきたします。
50歳以上に多く、食欲低下・腹痛・血便・貧血などを伴うことがあります。
【検査】胃内視鏡・大腸内視鏡、腹部CT、腫瘍マーカー(CEA・CA19-9)。
2. 糖尿病(1型・2型)
インスリン不足によりエネルギーが利用できず、食欲があるにもかかわらず体重が減少します。
口渇・多飲・多尿・倦怠感を伴い、若年の1型と中高年の2型で発症パターンが異なります。
【検査】血糖・HbA1c、尿検査(尿糖・ケトン体)、インスリン・Cペプチド。
3. 甲状腺機能亢進症(バセドウ病)
代謝が異常に亢進することで、食欲旺盛にもかかわらず体重が著しく減少します。
20〜40代の女性に多く、動悸・発汗・手のふるえ・眼球突出を伴います。
【検査】甲状腺ホルモン(TSH・FT3・FT4)、抗TSH受容体抗体、甲状腺エコー。
4. クローン病・潰瘍性大腸炎
消化管の慢性炎症により栄養吸収が障害され、体重減少・下痢・腹痛が続きます。
10〜30代に多く、低アルブミン血症・貧血を伴うことがあります。
【検査】大腸内視鏡、血液検査(CRP・アルブミン・貧血)、便中カルプロテクチン。
5. 慢性膵炎
膵外分泌機能の低下により脂肪・タンパク質の消化吸収が障害され、体重が減少します。
アルコール多飲歴のある中年男性に多く、脂肪便・腹痛・糖尿病を合併することがあります。
【検査】血液検査(アミラーゼ・リパーゼ)、腹部CT、膵外分泌機能検査。
6. 肝硬変・慢性肝疾患
肝機能の低下により栄養代謝が障害され、体重減少・筋肉量低下・腹水が出現します。
ウイルス性肝炎・アルコール性肝障害の既往がある方に多くみられます。
【検査】肝機能(AST・ALT・アルブミン)、腹部超音波、線維化マーカー。
7. うつ病・精神疾患
食欲低下・意欲の減退により摂食量が減り、体重が緩やかに減少します。
全年齢に見られ、睡眠障害・気力の低下・興味喪失を伴うことが多いです。
【検査】問診・心理評価、血液検査(除外診断)。
8. 結核・慢性感染症
慢性感染により代謝が亢進し、体重減少・発熱・夜間発汗・咳が出現します。
免疫低下者や高齢者・外国籍の方に多く、長期にわたる症状が特徴です。
【検査】胸部X線・CT、喀痰培養、QFT(クォンティフェロン)検査、血液検査。
9. 肺がん・悪性リンパ腫
悪性腫瘍の代謝亢進により、食欲低下を伴う著明な体重減少が現れます。
中高年・喫煙者に多く、咳・血痰・発熱・夜間発汗・リンパ節腫脹を伴うことがあります。
【検査】胸部CT、PET-CT、血液検査(LDH・腫瘍マーカー)、生検。
10. 神経性やせ症(摂食障害)
食事制限や拒食により著しい低体重をきたし、身体的・精神的合併症を伴います。
10〜20代の女性に多く、体重増加への強い恐怖・ボディイメージの歪みが背景にあります。
【検査】身体計測(BMI)、血液検査(電解質・貧血・栄養状態)、心電図。
■ 補足
意図しない体重減少(6ヶ月以内に5%以上)は、悪性腫瘍・内分泌疾患・消化器疾患・精神疾患・感染症のサインである可能性があります。食欲の有無・随伴症状(発熱・下痢・動悸など)・喫煙歴・服薬歴を丁寧に評価し、速やかな精密検査を行うことが重要です。