症状
関節痛
■ 関節痛を起こす主な鑑別疾患(全10選)
1. 変形性関節症
関節軟骨の摩耗・変性により、膝・股関節・手指などに慢性的な痛みと可動域制限が生じます。
高齢者・肥満の方に多く、動作開始時の痛みが特徴で進行すると安静時痛も出現します。
【検査】X線(関節裂隙の狭小化・骨棘形成)、必要に応じてMRI。
2. 関節リウマチ
自己免疫異常により複数の関節に炎症が起き、腫脹・疼痛・朝のこわばりが左右対称に出現します。
30〜50代の女性に多く、放置すると関節破壊・変形が進行します。
【検査】血液検査(RF・抗CCP抗体・CRP・MMP-3)、X線・関節超音波・MRI。
3. 痛風・偽痛風
結晶性物質の関節内沈着により急性の関節炎(発赤・腫脹・激痛)が出現します。
痛風は中高年男性の足趾・足首に多く、偽痛風は高齢者の膝関節に多くみられます。
【検査】血液検査(尿酸値・CRP)、関節液検査(結晶の確認)、X線。
4. 感染性関節炎(化膿性関節炎)
細菌が関節内に侵入し、急性の関節痛・腫脹・発熱・関節液混濁が出現します。
免疫低下者・高齢者・関節注射後などに多く、適切な抗菌薬治療が急務です。
【検査】関節液培養・細胞数、血液培養、血液検査(白血球・CRP)、X線。
5. ウイルス性関節炎(インフルエンザ・COVID-19後遺症)
ウイルス感染中または感染後に複数関節の痛み・こわばりが出現します。
全年齢に見られ、発熱・倦怠感・筋肉痛を伴うことが多いです。
【検査】血液検査(炎症反応・ウイルス抗体)、関節液検査(感染性との鑑別)。
6. 高血圧・糖尿病に伴う関節障害
代謝異常や血管障害が関節周囲組織に影響し、慢性的な関節痛が生じることがあります。
中高年に多く、他の生活習慣病(高脂血症・肥満)を合併していることが多いです。
【検査】血糖・HbA1c、血圧測定、脂質検査、X線。
7. 全身性エリテマトーデス(SLE)・膠原病
自己免疫疾患により多発性の関節痛・皮疹・発熱・倦怠感が全身に出現します。
20〜40代の女性に多く、日光過敏・蝶形紅斑・腎障害を伴うことがあります。
【検査】血液検査(ANA・抗dsDNA抗体・補体・CRP)、尿検査。
8. 乾癬性関節炎・強直性脊椎炎
脊椎や末梢関節の慢性炎症が腰背部・足趾・股関節に痛みをきたします。
20〜40代男性に多く、皮膚の乾癬病変や腰背部の朝のこわばりを伴います。
【検査】血液検査(HLA-B27・CRP)、X線・MRI(仙腸関節)。
9. 高脂血症・甲状腺機能低下症
代謝異常が関節周囲の組織(腱・靭帯)に影響し、関節痛・こわばりが生じることがあります。
中高年女性に多く、倦怠感・むくみ・体重増加などを伴います。
【検査】脂質検査、甲状腺ホルモン(TSH・FT4)、血液検査(CRP)。
10. 骨粗鬆症に伴う関節・骨の痛み
骨密度の低下により骨折リスクが高まり、関節周囲の痛みや圧迫骨折が生じます。
閉経後の高齢女性に多く、身長低下・背中の丸みを伴うことがあります。
【検査】骨密度測定(DXA法)、X線、血液検査(カルシウム・ビタミンD・PTH)。
■ 補足
関節痛は変性疾患・自己免疫・代謝・感染・外傷など多くの原因で生じます。特に急性発症・発熱・複数関節の腫脹・皮疹を伴う場合は、感染性関節炎・自己免疫疾患・結晶性関節炎を念頭に置いた速やかな検査が重要です。