症状
呼吸困難
■ 呼吸困難を起こす主な鑑別疾患(全10選)
1. 急性心不全・慢性心不全急性増悪
心臓のポンプ機能低下により肺うっ血が起き、安静時呼吸困難・起座呼吸・ピンク色の泡沫痰が出現します。
高齢者・心疾患既往のある方に多く、下肢浮腫・頸静脈怒張を伴います。
【検査】胸部X線、心エコー、BNP、血液検査(腎機能・電解質)、心電図。
2. 気管支喘息
気道の慢性炎症・可逆性の気道狭窄により、発作性の呼吸困難・喘鳴・咳が出現します。
小児〜若年層に多く、アレルゲンや運動・冷気が誘因となります。
【検査】肺機能検査(スパイロメトリー)、ピークフロー測定、血液検査(好酸球・IgE)。
3. 肺炎
肺実質の感染・炎症によりガス交換が障害され、発熱・咳・呼吸困難が出現します。
高齢者・免疫低下者に多く、重症化すると呼吸不全に至ることがあります。
【検査】胸部X線・CT、血液検査(白血球・CRP)、喀痰培養、動脈血ガス分析。
4. 肺塞栓症
肺動脈への血栓閉塞により、突然の呼吸困難・胸痛・頻脈・冷や汗が出現します。
長時間の臥床・手術後・妊娠中の方に多く、致死的な経過をたどることがあります。
【検査】Dダイマー、胸部造影CT、心エコー、動脈血ガス分析。
5. 自然気胸
肺に穴が開き空気が胸腔内に漏れることで、突然の胸痛・呼吸困難が出現します。
若年の痩せ型男性に多く、緊張性気胸では緊急処置が必要です。
【検査】胸部X線・CT、呼吸音の左右差の確認、経皮的酸素飽和度測定。
6. 急性心筋梗塞・不安定狭心症
心筋虚血により心機能が急激に低下し、胸痛・呼吸困難・冷や汗・動悸が出現します。
高血圧・糖尿病・喫煙歴のある中高年男性に多い緊急疾患です。
【検査】心電図、心筋マーカー(トロポニン)、心エコー、冠動脈CT。
7. 慢性閉塞性肺疾患(COPD)急性増悪
長年の喫煙による気道障害が増悪し、労作時呼吸困難・慢性咳嗽・喘鳴が悪化します。
中高年の喫煙者・元喫煙者に多く、感染を契機に急性増悪することがあります。
【検査】肺機能検査(スパイロメトリー)、胸部CT、動脈血ガス分析、血液検査。
8. 貧血(重症・急性出血性)
ヘモグロビンの著しい低下により酸素運搬能が低下し、呼吸困難・動悸・倦怠感が出現します。
消化管出血・月経過多・溶血性疾患の方に多くみられます。
【検査】血液検査(Hb・Ht・網状赤血球)、便潜血検査、骨髄検査(必要時)。
9. アナフィラキシー・重篤なアレルギー反応
アレルゲン暴露後に急激な気道浮腫・喉頭浮腫・気管支痙攣により呼吸困難が出現します。
食物・薬剤・ハチ毒などが原因で、全年齢に見られる緊急疾患です。
【検査】バイタルサインの評価、血液検査(IgE・トリプターゼ)、問診(原因物質の確認)。
10. 過換気症候群・パニック障害
強い不安・恐怖感により過呼吸が生じ、息苦しさ・胸痛・手足のしびれ・めまいが出現します。
20〜40代の女性に多く、器質的疾患を除外した後に診断されます。
【検査】動脈血ガス分析(CO2低下の確認)、心電図、胸部X線(除外診断)。
■ 補足
呼吸困難は心臓・肺・血管・血液・精神など多くの臓器疾患で生じます。特に突然発症・安静時呼吸困難・チアノーゼ・意識障害・血圧低下を伴う場合は生命に関わる緊急疾患の可能性があり、速やかな評価と処置が必要です。