症状
頭痛
【頭痛を起こす病気とその鑑別】
頭痛は非常に多くの人が経験する症状ですが、原因は**良性の一次性頭痛(片頭痛や緊張型など)**から、**命に関わる二次性頭痛(脳出血・くも膜下出血など)**まで幅広く存在します。
急に発症した激しい頭痛、嘔吐や麻痺を伴う頭痛は要注意です。
1. 片頭痛(偏頭痛)
20〜40代女性に多く、ホルモン変動やストレス、睡眠不足などが誘因となります。
拍動性(ズキズキする)頭痛で、吐き気・光過敏・音過敏を伴うのが特徴です。
検査:頭部MRI(他疾患除外目的)、頭痛日誌による経過観察。
2. 緊張型頭痛
最も頻度の高い頭痛で、首や肩の筋肉のこり・ストレスが原因です。
後頭部から頭全体の鈍い締め付け感が特徴で、デスクワークや姿勢不良により悪化します。
検査:身体診察、頸部筋緊張の評価(画像検査は除外診断目的)。
3. 群発頭痛
20〜40代男性に多い激烈な頭痛で、眼の奥をえぐられるような痛みが一定期間集中して起こります。
涙・鼻水・目の充血を伴い、夜間に発作的に発症するのが特徴です。
検査:MRIまたはMRAで二次性頭痛の除外。
4. 副鼻腔炎(蓄膿症)
風邪やアレルギーの後に頬・額・目の奥の鈍痛が続く場合に疑います。
鼻づまり・膿性鼻汁・発熱を伴い、頭を前に傾けると痛みが増すのが特徴です。
検査:副鼻腔CT、鼻咽腔内視鏡、血液検査(炎症反応)。
5. くも膜下出血
**突然の激しい頭痛(雷鳴頭痛)**が特徴で、**意識障害・吐き気・項部硬直(首の硬さ)**を伴うことがあります。
中高年女性に多く、脳動脈瘤の破裂が原因です。生命に関わる緊急疾患です。
検査:頭部CT(初期診断)、MRI、脳血管造影(MRA)。
6. 脳出血・脳梗塞
突然の頭痛に加えて、手足の麻痺・言語障害・意識障害を伴う場合に疑います。
高血圧・糖尿病・動脈硬化がある中高年に多く、早急な治療が必要です。
検査:頭部CT(出血の確認)、MRI(梗塞評価)、血液検査。
7. 高血圧性頭痛
血圧上昇により、後頭部を中心に鈍痛や重い感覚が出ることがあります。
朝方やストレス時に悪化し、めまい・耳鳴り・動悸を伴うこともあります。
検査:血圧測定、心電図、腎機能・ホルモン検査。
8. 側頭動脈炎(巨細胞性動脈炎)
50歳以上の女性に多く、こめかみの拍動痛や顎の痛みが特徴です。
視力障害を合併すると失明の危険があるため、早期診断が重要です。
検査:血液検査(CRP・赤沈)、側頭動脈エコー、組織生検。
9. 脳腫瘍
頭蓋内圧の上昇による頭痛で、**朝方に強く、嘔吐や視覚異常(視野欠損)**を伴うことが多いです。
徐々に進行する頭痛が特徴で、腫瘍の部位に応じて神経症状が出ます。
検査:頭部MRI・CT、眼底検査。
10. 薬剤乱用頭痛(MOH)
頭痛薬の**長期連用(10日以上/月)**によってかえって頭痛が悪化する状態です。
中年女性に多く、片頭痛や緊張型頭痛に続発します。
検査:服薬歴の確認、頭部画像(他疾患除外)。
■ 診断に必要な主な検査
| 検査項目 | 内容 |
|---|---|
| 頭部CT/MRI | 出血・腫瘍・梗塞など器質的疾患の除外 |
| MRA/脳血管造影 | くも膜下出血・動脈瘤・血管炎の評価 |
| 血圧測定 | 高血圧性頭痛や循環性疾患の評価 |
| 血液検査 | 炎症(CRP)、貧血、甲状腺機能、感染症の評価 |
| 副鼻腔CT | 鼻副鼻腔炎による頭痛の診断 |
| 眼底検査 | 頭蓋内圧上昇や視神経乳頭浮腫の確認 |
| 神経学的診察 | 片麻痺・感覚障害・言語障害の有無を確認 |
■ まとめ
頭痛は「ありふれた症状」である一方、早期発見が命を救う疾患の初期症状でもあります。
特に、
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突然強い痛みが出た(雷鳴のような頭痛)
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発熱・吐き気・意識障害を伴う
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今までと違う性質の頭痛
といった場合は、速やかに医療機関を受診することが重要です。
当院では、頭部CT・MRI検査、血液検査、血圧・神経学的評価を行い、原因を的確に見極めた上で治療を行っています。
頭痛でお悩みの方は、放置せず一度ご相談ください。