胆石症

胆石症とは、胆のうの中に石のような固形物（胆石）が形成される病気です。胆石は、胆汁という消化液の成分が結晶化してできるもので、大きさや数、性状には個人差があります。

胆石があるだけでは必ずしも症状が出るとは限らず、多くは無症状のまま経過しますが、胆石が胆のうや胆のうから消化管につながる胆管を塞ぐと、腹痛や炎症を引き起こし、胆のう炎・胆管炎・膵炎などの合併症を伴うことがあります。

発症の原因には、次のような因子が関係しています：

日本国内では、中高年の女性に多く見られる傾向があり、特に40歳以降での罹患率が上昇します。

胆石症は症状のないまま見つかる「無症候性胆石」が約7割を占めますが、以下のような症状が出現することがあります：

特に脂っこい食事のあとに症状が出やすい傾向があります。発作的な激しい痛みは「胆石発作」と呼ばれ、胆石が胆のう出口や胆管を一時的に塞ぐことで起こります。

症状が進行すると、胆のう炎・胆管炎・急性膵炎など重篤な状態に至る可能性があるため、放置せず適切な検査と対応が必要です。

胆石症の診断は、症状と画像検査の結果を組み合わせて行います。主な検査は以下の通りです：

腹部超音波検査（エコー）

　胆のう内や胆管内の胆石を非侵襲的に確認できる最も一般的な検査です。石の位置や大きさ、胆のう壁の厚みも評価します。
腹部CT検査

　石が見えにくい場合や、炎症や他の臓器への波及を確認したい場合に有用です。
血液検査

　白血球数やCRPの上昇が炎症を示唆し、肝機能異常（AST、ALT、ALP、γ-GTP）やビリルビンの上昇が胆道の閉塞や肝障害を疑わせます。
内視鏡的逆行性胆管膵管造影（ERCP） (高次医療機関で行います)

　総胆管結石が疑われる場合に、直接胆管を造影して診断・治療を同時に行うことができます。
MRI（MRCP） (高次医療機関で行います)

　胆管や膵管の構造を非侵襲的に詳細に評価できます。

検査の流れとしては、まずエコーで胆石の存在を確認し、症状や血液検査の結果をもとに追加の検査を行うかどうかを判断します。

胆石症の治療は、症状の有無・石の性状・合併症の有無に応じて方針が異なります。

無症候性胆石の場合

　基本的には経過観察が選択されます。ただし、石が大きい、膵炎の既往がある、胆のうポリープを伴うなどの場合は手術を考慮することもあります。
症状のある胆石または胆のう炎を伴う場合

　胆のうを摘出する手術が第一選択です。特に腹腔鏡手術は体への負担が少なく、術後の回復も早い治療法です。重症であったり合併症がある場合には胆嚢の内容物を吸引する治療や内視鏡的治療(ERCP)が適応になる場合もあります。
内科的治療（対症療法）

　手術がすぐにできない場合や軽症例では、鎮痛剤・抗菌薬・胆汁酸製剤などを用いて一時的に症状を和らげることもあります。
総胆管結石を伴う場合

　内視鏡的治療（ERCP）により結石を除去します。胆のうの摘出手術を合わせて行うこともあります。

当院では、腹部エコーや血液検査による早期診断に力を入れており、必要に応じて高次医療機関への紹介や、生活指導・薬物治療を通じて患者さまの状態に合わせた対応を行っております。

胆石症の予防・再発防止には、以下のような生活習慣の改善が重要です：

また、胆石があると診断された方は、自己判断で食事を制限しすぎず、医師の指導のもとで日常生活を調整することが大切です。

胆石症は、多くの場合で無症状のまま経過しますが、急激に痛みや合併症を引き起こすこともある病気です。早期の発見と適切な対応によって、生活の質を保ちながら再発を防ぐことが可能です。

当院では、胆石の診断から日常生活での注意点まで、患者さま一人ひとりに合わせた丁寧なサポートを提供しております。気になる症状がある方や健康診断で胆石を指摘された方は、どうぞお気軽にご相談ください。