息切れ

【息切れを起こす病気とその鑑別】

息切れとは、呼吸をする際に「息が苦しい」「空気が吸えない」と感じる症状を指します。
呼吸器・心臓・血液・代謝・精神的要因など、多岐にわたる原因が関係します。
一過性のものから命に関わる重篤な疾患まであり、背景疾患の把握が重要です。

若年〜中年のアレルギー体質の方に多くみられます。
ヒューヒュー・ゼーゼーという呼吸音（喘鳴）や夜間の咳、呼吸困難を繰り返す疾患です。
検査：呼吸機能検査（スパイロメトリー）、FeNO測定、血中好酸球・IgE、胸部X線。

長年の喫煙歴を持つ中高年男性に多く、徐々に進行する労作時の息切れや慢性の咳・痰が特徴です。
放置すると安静時にも呼吸困難を感じるようになります。
検査：呼吸機能検査、胸部CT、血液ガス分析。

高齢者や免疫力の低下した方に多く、発熱・咳・痰・胸痛を伴い、重症化すると呼吸不全を生じます。
ウイルスや細菌感染が原因で、迅速な診断と抗菌薬治療が重要です。
検査：胸部X線・CT、血液検査（白血球・CRP・プロカルシトニン）、喀痰培養。

高血圧や心疾患のある高齢者に多く、心臓のポンプ機能低下により息切れを感じます。
階段昇降時や横になると苦しい（起座呼吸）・足のむくみ・体重増加などを伴います。
検査：心電図、BNP（心不全マーカー）、心エコー、胸部X線。

長時間の安静・手術・長距離移動後などに発症し、突然の息切れ・胸痛・冷や汗が出る緊急疾患です。
血栓が肺動脈を塞ぎ、酸素供給が阻害されることで発症します。
検査：造影CT（肺動脈造影）、Dダイマー、心電図、心エコー。

女性や高齢者に多く、酸素を運ぶ赤血球が減るために息切れや疲労感を感じます。
顔色不良・動悸・めまいなどを伴い、消化管出血や月経過多が原因のこともあります。
検査：血液検査（ヘモグロビン、鉄、フェリチン、網赤血球数）、便潜血検査。

中高年の男性に多く、肺が硬くなり酸素の取り込みが悪くなる病気です。
乾いた咳や労作時息切れが徐々に進行し、重症化すると呼吸不全を起こします。
検査：胸部CT（蜂巣肺所見）、血液（KL-6・SP-D）、肺機能検査。

若い痩せ型男性や肺疾患のある高齢者に多く、突然の胸痛と片側の息切れが特徴です。
肺に穴が開き、空気が胸腔内に漏れることで肺がしぼむ病気です。
検査：胸部X線、胸部CT。

若い女性に多く、不安や緊張がきっかけで呼吸が浅く速くなります。
息苦しさ・胸の圧迫感・手足のしびれ・冷や汗などを伴いますが、臓器異常は認めません。
検査：血液ガス（呼吸性アルカローシス）、心電図、心理評価。

中高年男性や糖尿病・高血圧のある方に多く、心臓への血流が不足して労作時の息切れや胸の圧迫感を生じます。
進行すると心筋梗塞に至ることもあります。
検査：心電図、運動負荷試験、冠動脈CT、心エコー。

息切れは、「運動時の軽い疲れ」として見過ごされがちですが、心臓・肺・血液・ホルモン異常など全身疾患のサインであることがあります。
特に、

当院では、胸部画像・呼吸機能・心電図・血液検査を組み合わせた包括的な評価を行い、原因疾患を迅速に特定します。
息切れを感じた際は、ぜひ一度ご相談ください。