症状
黒色便
■ 黒色便を起こす主な鑑別疾患(全10選)
1. 胃潰瘍・十二指腸潰瘍(出血)
上部消化管の潰瘍から出血した血液が消化されてタール便(黒色便)となります。
ピロリ菌感染やNSAIDs使用歴のある中高年に多く、貧血・めまい・心窩部痛を伴います。
【検査】胃内視鏡(緊急)、血液検査(貧血・凝固)、便潜血検査。
2. 逆流性食道炎・バレット食道(出血性)
食道粘膜のびらんや潰瘍から少量の出血が続き、黒色便として現れることがあります。
中高年男性に多く、胸やけ・嚥下障害を伴うことがあります。
【検査】胃内視鏡、組織生検。
3. 胃がん(出血)
腫瘍からの慢性出血により黒色便・貧血・体重減少が出現します。
50歳以上に多く、早期は無症状のため定期的な内視鏡検査が重要です。
【検査】胃内視鏡、組織生検、腫瘍マーカー(CEA・CA19-9)、腹部CT。
4. 食道・胃静脈瘤(出血)
肝硬変による門脈圧亢進で静脈瘤が形成され、破裂すると大量の黒色便・吐血が出現します。
肝疾患の既往がある方に多く、出血量が多い場合は生命に関わります。
【検査】胃内視鏡(緊急)、血液検査(肝機能・凝固)、腹部超音波。
5. マロリー・ワイス症候群
激しい嘔吐・えずきにより食道と胃の接合部が裂傷し、出血から黒色便が生じます。
飲酒後の嘔吐に多く、若〜中年の男性に見られます。
【検査】胃内視鏡(緊急)、血液検査(貧血・凝固)。
6. 急性胃炎・急性胃粘膜病変(AGML)
ストレス・薬剤・アルコールにより胃粘膜にびらんや出血が生じ、黒色便として現れます。
全年齢に見られ、突然の発症が特徴です。
【検査】胃内視鏡、血液検査(炎症反応・貧血)。
7. 出血性十二指腸炎・十二指腸腫瘍
十二指腸の炎症や腫瘍からの出血が黒色便の原因となります。
消化性潰瘍と類似した症状を呈し、空腹時痛・胃もたれを伴うことがあります。
【検査】胃内視鏡(十二指腸まで観察)、腹部CT。
8. 薬剤性消化管出血(NSAIDs・抗凝固薬)
NSAIDsや抗凝固薬が胃粘膜を傷つけ、慢性的な出血から黒色便が生じます。
高齢者や多剤服用中の方に多く、自覚症状が乏しいことがあります。
【検査】服薬歴の確認、胃内視鏡、血液検査(貧血・凝固)。
9. 小腸出血(血管異形成・小腸腫瘍)
小腸からの出血は黒色便または暗赤色便として現れ、原因の特定が難しいことがあります。
高齢者や抗凝固薬服用中の方に多く、反復する出血が特徴です。
【検査】カプセル内視鏡、小腸CT(CTE)、ダブルバルーン内視鏡。
10. 鉄剤・ビスマス製剤の服用
鉄剤や特定の薬剤・食品(レバーなど)の摂取により、病的出血を伴わない黒色便が生じます。
服薬歴の確認で容易に鑑別でき、貧血・腹痛などの随伴症状はありません。
【検査】服薬・食事歴の確認、便潜血検査。
■ 補足
黒色便(タール便)は上部消化管出血の重要なサインです。特に大量出血・吐血・血圧低下・意識障害を伴う場合は緊急内視鏡が必要となります。鉄剤服用などによる偽性黒色便との鑑別のため、服薬歴・食事歴の確認と便潜血検査が診断の第一歩となります。