胸部
慢性閉塞性肺疾患(COPD)
■ 疾患の概要
慢性閉塞性肺疾患(COPD:Chronic Obstructive Pulmonary Disease)とは、主に長年の喫煙によって気道や肺胞が破壊され、不可逆性の気流閉塞が生じる慢性肺疾患です。肺気腫(肺胞の破壊)と慢性気管支炎(気道の慢性炎症・分泌物増加)が組み合わさった病態です。
原因の約90%は喫煙であり、残りは大気汚染・職業性粉塵・遺伝的要因(α1-アンチトリプシン欠損症)などです。日本では40歳以上の約8.6%が罹患していると推計されますが、診断されていない患者が多い「見えない病気」でもあります。中高年の喫煙者・元喫煙者の男性に多くみられます。
■ 主な症状
・慢性の咳・痰:特に起床時に多い
・労作時の息切れ:最も重要な症状で、徐々に進行します
・喘鳴:呼気時のヒューヒュー音
・体重減少・筋力低下(進行例)
症状はゆっくり進行するため、「年のせい」「たばこのせい」と放置されることが多く、診断時にはすでに肺機能が著しく低下していることがあります。感染を契機とした急性増悪では短期間で呼吸状態が悪化し、入院が必要となります。喘息との違いは気道閉塞が不可逆性(治療しても元に戻らない)である点です。
■ 診断に必要な検査
・呼吸機能検査(スパイロメトリー):最も重要な検査です。気管支拡張薬投与後にFEV1/FVC(1秒率)が70%未満であることが診断基準となります。当院で施行可能です。
・胸部CT検査:肺気腫の分布・程度・気道病変を詳細に評価します。当院で施行可能です。
・胸部X線:肺の過膨張・横隔膜の平低化などを確認します。当院で施行可能です。
・血液検査・動脈血ガス分析:炎症反応・低酸素血症・高炭酸ガス血症の評価に用います。
・経皮的酸素飽和度測定(SpO2):酸素化の評価
■ 主な治療方法
COPDは根治治療はなく、病気の進行を抑制し症状・QOLを改善することが治療目標です。
・禁煙:最も重要な治療です。禁煙により肺機能の低下速度を遅らせることができます。当院では禁煙指導・禁煙補助薬の処方を行っております。
・気管支拡張薬(吸入薬):長時間作用型抗コリン薬(LAMA)・長時間作用型β₂刺激薬(LABA)が中心です。症状に応じて吸入ステロイド薬を追加します。当院では処方・吸入指導を行っております。
・呼吸リハビリテーション:運動療法・呼吸訓練・栄養管理により体力・QOLを改善します。
・在宅酸素療法(HOT):重症例で低酸素血症がある場合に適用されます。
・ワクチン接種:インフルエンザワクチン・肺炎球菌ワクチンにより急性増悪を予防します。
当院では禁煙指導・吸入薬の処方・吸入指導・定期的な呼吸機能検査・胸部CT評価を行っております。急性増悪・在宅酸素療法が必要な場合は入院施設のある医療機関へ紹介いたします。
■ 予防や生活上の注意点
・禁煙が最大の予防策です。何歳からでも禁煙の効果はあります。
・受動喫煙・大気汚染・職業性粉塵への暴露を避ける
・インフルエンザ・肺炎球菌ワクチンを定期的に接種する
・息切れが気になったら早めに呼吸機能検査を受ける
・急性増悪時(発熱・痰の増加・息切れの急激な悪化)は速やかに受診する
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