腰部・腎・泌尿器
慢性腎臓病(CKD)
慢性腎臓病(CKD)について
■ 疾患の概要
慢性腎臓病(CKD:Chronic Kidney Disease)とは、腎臓の機能低下や腎臓の異常が3か月以上持続している状態を指します。腎臓は血液をろ過して老廃物や余分な水分を尿として排出するほか、血圧の調節、赤血球を作るホルモンの分泌、骨の代謝調節など、体内の恒常性を維持する重要な役割を担っています。
慢性腎臓病になると、これらの機能が徐々に低下し、進行すると腎不全に至る可能性があります。腎機能が著しく低下した場合には、透析治療や腎移植が必要になることもあります。
日本では慢性腎臓病の患者は非常に多く、**成人の約8人に1人(約1300万人)**がCKDに該当すると推定されています。初期には自覚症状がほとんどないため、健康診断などで初めて指摘されることが少なくありません。
慢性腎臓病の主な原因としては以下が挙げられます。
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糖尿病(糖尿病性腎症)
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高血圧
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慢性糸球体腎炎
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加齢による腎機能低下
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肥満や生活習慣病
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長期の鎮痛薬使用
特に糖尿病と高血圧は、慢性腎臓病の最も重要な原因とされています。
■ 主な症状
慢性腎臓病は初期にはほとんど症状が現れないことが多く、病気が進行してから症状が出てくることがあります。
進行すると、以下のような症状がみられることがあります。
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むくみ(浮腫)
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疲れやすい、倦怠感
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食欲低下
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吐き気、嘔吐
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夜間頻尿
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息切れ
また、腎機能が低下すると体内に老廃物が蓄積し、尿毒症と呼ばれる状態になることがあります。
慢性腎臓病は腎臓だけでなく、心血管疾患(心筋梗塞、脳梗塞など)のリスクを高めることが知られており、全身の健康に大きく関わる疾患です。
■ 診断に必要な検査
慢性腎臓病の診断には、主に以下の検査が行われます。
血液検査
血液検査では、腎機能を示す以下の項目を確認します。
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クレアチニン(Cr)
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eGFR(推算糸球体濾過量)
eGFRは腎臓のろ過機能を示す指標であり、60mL/分/1.73m²未満が3か月以上続く場合、CKDと診断されます。
血清クレアチニン値と性別、体重から算出します。
尿検査
尿検査では以下の項目を確認します。
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蛋白尿
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アルブミン尿
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血尿
蛋白尿やアルブミン尿は腎臓の障害を示す重要な指標です。
画像検査
必要に応じて以下の検査を行います。
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腹部超音波検査(腹部エコー)
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腹部CT検査
これらの検査により、腎臓の大きさや形態、結石や腫瘍の有無などを評価します。
■ 主な治療方法
慢性腎臓病の治療は、腎機能低下の進行を抑えることと合併症を予防することが目的です。
生活習慣の改善
以下の生活管理が重要です。
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塩分制限(一般的に1日6g未満)
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適正体重の維持
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禁煙
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適度な運動
基礎疾患の治療
原因となる疾患の管理が重要です。
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糖尿病の血糖コントロール
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高血圧のコントロール
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LDLコレステロール・中性脂肪のコントロール
薬物療法
腎機能保護のために以下の薬剤が使用されることがあります。
- 糖尿病薬 (SGLT2阻害薬) : 糖尿病でなくても蛋白尿が出ていたり、eGFRが下がると使用します
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高血圧薬 (ACE阻害薬[アンジオテンシン変換酵素阻害薬]・ARB[アンジオテンシン受容体拮抗薬])
- 利尿薬 (MRA[ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬])
これらの薬剤は、腎機能低下の進行を抑える効果が期待されています。
腎機能が大きく低下した場合には、透析療法(血液透析・腹膜透析)や腎移植が検討されます。
当院では、血液検査や尿検査による腎機能評価を行い、生活習慣病の管理を含めた総合的な診療を行っています。進行した場合には腎臓専門医と連携し、適切な治療を行います。
■ 予防や生活上の注意点
慢性腎臓病の予防には、日常生活の管理が非常に重要です。
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定期的な健康診断を受ける
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血圧や血糖の管理
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塩分の摂り過ぎを避ける
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バランスの良い食事
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適度な運動習慣
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禁煙
また、痛み止め(NSAIDs)などの薬剤を長期間使用する場合は、腎機能への影響に注意が必要です。
慢性腎臓病は早期に発見し、適切な管理を行うことで進行を抑えることが可能な疾患です。
健康診断で尿蛋白や腎機能の異常を指摘された方、むくみや疲れやすさが気になる方は、早めの受診をおすすめします。当院では生活習慣病の管理を含め、腎機能の評価や治療にも対応しておりますので、お気軽にご相談ください。