肝臓・胆のう・膵臓

肝膿瘍(のうよう)

1. 疾患の概要

肝膿瘍(かんのうよう)とは、肝臓の内部に細菌などの感染によって膿(うみ)がたまる感染症です。膿瘍とは体内の組織が感染によって破壊され、膿が溜まった状態を指します。肝臓に生じた場合を肝膿瘍と呼びます。

肝膿瘍には主に次の2つの種類があります。

  • 細菌性肝膿瘍

  • アメーバ性肝膿瘍

日本では多くが細菌性肝膿瘍であり、胆道感染(胆管炎など)や腸管感染が原因となることが多いとされています。胆石症、胆管結石、胆管炎などの胆道疾患を背景に発症することも少なくありません。

また、糖尿病や免疫力が低下している状態では感染が広がりやすく、肝膿瘍のリスクが高くなります。

近年では画像検査の普及により早期診断が可能になっていますが、適切な治療が行われない場合には重症化することもあるため注意が必要な疾患です。


2. 主な症状

肝膿瘍では感染による全身症状と腹部症状がみられることがあります。

主な症状には以下のようなものがあります。

  • 発熱(高熱)

  • 悪寒・震え(悪寒戦慄)

  • 右上腹部痛

  • 食欲不振

  • 倦怠感

  • 体重減少

  • 吐き気・嘔吐

肝臓の炎症が強い場合には右上腹部の痛みや圧痛がみられることがあります。

また、胆道感染が原因となっている場合には

  • 黄疸

  • 胆管炎の症状

を伴うこともあります。

これらの症状は

  • 胆管炎

  • 急性胆のう炎

  • 急性肝炎

などの疾患でもみられるため、画像検査による診断が重要になります。


3. 診断に必要な検査

肝膿瘍の診断には血液検査と画像検査が重要です。

血液検査

感染症を示す以下の項目を確認します。

  • 白血球増加

  • CRP上昇

  • 肝機能異常

また、原因となる細菌を調べるために血液培養を行うことがあります。

腹部エコー(超音波検査)

肝臓の中に膿瘍を疑う腫瘤がないかを確認する基本的な検査です。

腹部CT

膿瘍の大きさや位置、数を詳しく評価するために行われます。肝膿瘍の診断において非常に重要な検査です。

必要に応じて、膿瘍の内容を採取して原因菌を調べる検査が行われることもあります。


4. 主な治療方法

肝膿瘍の治療は感染のコントロールが中心となります。

抗菌薬治療

細菌感染に対して抗菌薬(抗生剤)を投与します。多くの場合、点滴治療が必要になります。

経皮的ドレナージ

膿瘍が大きい場合には、超音波やCTで位置を確認しながら皮膚から針を刺して膿を排出する処置(ドレナージ)を行うことがあります。

原因疾患の治療

胆管結石や胆管炎などの原因疾患がある場合には、その治療も重要になります。

当院では血液検査、腹部エコー、腹部CTなどの検査を行い、肝膿瘍が疑われる場合には速やかに専門医療機関と連携し適切な治療につなげます。


5. 予防や生活上の注意点

肝膿瘍を完全に予防することは難しいですが、以下のような点が重要です。

  • 胆石症や胆管結石など胆道疾患の適切な治療

  • 糖尿病のコントロール

  • 腸管感染症の早期治療

  • 定期的な健康診断

高熱や強い倦怠感、右上腹部痛が続く場合には、感染症の可能性もあるため早めの受診をおすすめします。

肝膿瘍は適切な治療を行えば改善が期待できる疾患ですが、放置すると重症化することもあります。気になる症状がある場合には、早めに医療機関へご相談ください。