四肢・皮膚・全身
痛風
■ 疾患の概要
**痛風(つうふう)とは、血液中の尿酸値が高くなる「高尿酸血症」が続くことで、関節内に尿酸結晶(尿酸塩結晶)**が沈着し、強い炎症を引き起こす疾患です。突然の激しい関節痛を特徴とし、「風が当たっても痛い」と表現されるほどの強い痛みが生じることから痛風と呼ばれています。
尿酸は、体内でプリン体という物質が分解される過程で生じる老廃物です。通常は腎臓から尿中へ排泄されますが、尿酸の産生が増えたり排泄が低下したりすると、血液中の尿酸濃度が上昇します。
日本では食生活の変化や生活習慣の影響により患者数が増加しており、成人男性の約20〜30%が高尿酸血症といわれています。痛風発作は特に30〜50歳代の男性に多くみられ、女性では閉経後に増加する傾向があります。
痛風は単なる関節の病気ではなく、生活習慣病の一つとして位置づけられており、肥満、高血圧、脂質異常症、糖尿病などと関連することが知られています。
■ 主な症状
痛風の最も特徴的な症状は、**突然起こる激しい関節の痛み(痛風発作)**です。
発作は多くの場合、以下のような特徴を示します。
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足の親指の付け根(第1中足趾節関節)の激しい痛み
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関節の腫れ、赤み、熱感
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触れるだけでも強い痛み
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夜間から早朝に突然発症することが多い
足の親指の関節が最も多い部位ですが、以下の関節にも起こることがあります。
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足関節
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膝関節
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手関節
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肘関節
痛風発作は通常、数日〜1週間ほどで自然に軽快することがありますが、治療を行わず放置すると再発を繰り返し、次第に発作の頻度が増えることがあります。
高尿酸血症が長期間続くと、関節や皮下に痛風結節(尿酸結晶の塊)が形成されることがあります。また、尿路に結石ができる尿路結石や、腎機能障害を引き起こすこともあります。
■ 診断に必要な検査
痛風の診断は、症状や検査結果を総合的に判断して行います。
血液検査
血液検査では、主に以下の項目を確認します。
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血清尿酸値
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炎症反応(CRP、白血球数)
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腎機能(クレアチニンなど)
一般的に、尿酸値が7.0mg/dL以上の場合は高尿酸血症と診断されます。
ただし、痛風発作の最中には尿酸値が正常範囲になることもあるため、症状や経過を含めて判断することが重要です。
関節液検査
関節液を採取し、顕微鏡で尿酸結晶を確認することで確定診断となりますが、臨床では症状と血液検査で診断されることが多いです。
画像検査
必要に応じて、以下の検査を行うことがあります。
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関節超音波検査:尿酸結晶の沈着を評価
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CT検査:慢性化した痛風結節の評価
また、尿路結石の有無を確認するために腹部画像検査を行うこともあります。
■ 主な治療方法
痛風の治療は、大きく分けて発作時の治療と尿酸値を下げる治療の2つがあります。
① 痛風発作の治療
急性発作時には、炎症を抑える治療を行います。
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非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)
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コルヒチン
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副腎皮質ステロイド
痛みが強い場合でも、多くの場合数日〜1週間で改善します。
② 尿酸値を下げる治療
発作を繰り返す場合や尿酸値が高い場合には、尿酸降下薬による治療を行います。
主な薬剤には以下があります。
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キサンチンオキシダーゼ阻害薬(フェブキソスタット、アロプリノールなど)
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尿酸排泄促進薬
尿酸値は一般的に6.0mg/dL以下を目標にコントロールします。
当院では、血液検査による尿酸値の管理とともに、生活習慣の改善指導や薬物療法を組み合わせた治療を行っています。
■ 予防や生活上の注意点
痛風の予防および再発防止には、生活習慣の改善が非常に重要です。
食生活の見直し
以下の食品はプリン体が多いため、過剰摂取を控えることが推奨されます。
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ビールなどのアルコール
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レバー、内臓肉
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魚卵
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一部の魚介類
ただし、極端な食事制限ではなく、バランスの良い食事が重要です。
アルコールの制限
特にビールはプリン体を多く含むため、飲酒量の調整が必要です。
十分な水分摂取
尿酸の排泄を促すため、1日2L程度の水分摂取が推奨されることがあります。
体重管理
肥満は尿酸値上昇の原因となるため、適正体重を維持することが重要です。
定期的な血液検査
高尿酸血症は自覚症状がないことも多いため、定期的な検査による管理が大切です。
痛風は適切な治療と生活習慣の改善により、発作を予防し良好にコントロールできる疾患です。
関節の突然の痛みや尿酸値の上昇を指摘された場合には、早めの受診をおすすめいたします。当院では生活習慣病の一つとして、痛風の診療や尿酸値の管理にも対応しておりますので、お気軽にご相談ください。