その他
不眠症・睡眠障害
■ 疾患の概要
不眠症とは、寝つきが悪い・夜中に何度も目が覚める・早朝に目が覚めてしまうなどの睡眠の問題が続き、日中の生活に支障をきたす状態です。単なる「寝不足」とは異なり、十分な睡眠をとる機会があるにもかかわらず眠れない状態が3ヶ月以上続く場合を慢性不眠症と呼びます。
日本では成人の約20〜30%が何らかの不眠症状を抱えており、慢性不眠症は約10%に存在するとされています。女性・高齢者・基礎疾患のある方に多くみられます。
主な原因・リスク因子は以下の通りです。
・心理的ストレス・不安・抑うつ(最も多い原因)
・生活習慣の乱れ:不規則な睡眠時間・カフェイン・アルコール・スマートフォンの使用
・身体疾患:睡眠時無呼吸症候群・心不全・糖尿病・慢性疼痛・頻尿
・薬剤の影響:ステロイド・抗うつ薬・降圧薬など
・加齢:睡眠の質が低下し中途覚醒・早朝覚醒が増加する
■ 主な症状・分類
不眠症は症状のパターンによって以下のように分類されます。
・入眠困難:床についてもなかなか寝つけない(30分以上かかる)
・中途覚醒:夜中に何度も目が覚め、再び眠れない
・早朝覚醒:希望より2時間以上早く目が覚めてしまう
・熟眠障害:十分な時間眠っても眠った感じがしない
これらの症状が続くことで日中の眠気・集中力低下・倦怠感・気分の落ち込み・パフォーマンス低下が生じ、生活の質が大きく低下します。また不眠が続くと「今夜も眠れないのでは」という不安が睡眠をさらに妨げる「不眠の悪循環」に陥りやすくなります。
■ 診断に必要な検査
・問診・睡眠日誌:睡眠のパターン・生活習慣・ストレス・服薬歴を詳しく確認します。2週間程度の睡眠日誌をつけていただくことで、睡眠の状態を客観的に把握できます。
・血液検査:甲状腺機能異常・貧血・糖尿病など不眠の原因となる身体疾患を除外します。当院で施行可能です。
・心電図:不整脈・心疾患の確認。当院で施行可能です。
・睡眠時無呼吸症候群検査:いびき・夜間の無呼吸・日中の強い眠気がある場合に簡易モニター検査を行います。睡眠時無呼吸症候群は不眠・夜間頻尿・高血圧の原因となることがあります。当院で施行可能です。
■ 主な治療方法
・睡眠衛生指導(生活習慣の改善):治療の基本です。規則正しい睡眠スケジュール・カフェイン・アルコールの制限・就寝前のスマートフォン使用を控えるなど。
・認知行動療法(CBT-I):不眠に対する最も効果的な非薬物療法です。睡眠に関する誤った考え方を修正し、睡眠を妨げる行動を改善します。
・薬物療法:
・オレキシン受容体拮抗薬(スボレキサント・レンボレキサント):依存性が低く第一選択となることが多い
・メラトニン受容体作動薬(ラメルテオン):入眠困難・概日リズム障害に有効
・ベンゾジアゼピン系・非ベンゾジアゼピン系睡眠薬:即効性があるが依存・転倒リスクに注意
・原因疾患の治療:睡眠時無呼吸症候群・うつ病・疼痛などが原因の場合は原疾患の治療が必須
当院では問診・検査・睡眠衛生指導・薬物療法を行っております。うつ病など精神科的疾患が背景にある場合は精神科・心療内科へ紹介いたします。
■ よくある質問
Q. 睡眠薬は飲み続けると依存しますか?
従来のベンゾジアゼピン系薬には依存のリスクがありましたが、近年主流となっているオレキシン受容体拮抗薬やメラトニン受容体作動薬は依存性が低く、安全に使用できます。医師の指示のもと適切に使用することが大切です。
Q. 高齢者の不眠はどう対処すればよいですか?
加齢とともに睡眠の質が変化するのは自然なことですが、日中の活動量を増やす・昼寝を短くする(30分以内)・朝に太陽光を浴びることが効果的です。薬を使う場合は転倒リスクの低い薬剤を選択します。
Q. 眠れない夜はどうすればよいですか?
眠れなくてもベッドで「眠ろう」と努力しないことが重要です。眠気を感じたらベッドに入り、眠れない場合は一度ベッドから出てリラックスできることをする(読書・ストレッチなど)ことをお勧めします。
■ 予防や生活上の注意点
・毎日同じ時刻に起床する(休日も含めて)
・日中に適度な運動をする(ただし就寝直前の激しい運動は避ける)
・就寝1〜2時間前からスマートフォン・パソコンの使用を控える
・寝室を暗く・静かに・涼しく保つ
・カフェインは午後2時以降控える
・アルコールは一時的に眠りやすくなるが睡眠の質を下げるため就寝前の飲酒を避ける
・2週間以上眠れない日が続く場合は早めに受診する
■ ご予約はこちら
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