四肢・皮膚・全身
睡眠時無呼吸症候群(SAS)
■ 疾患の概要
睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome:SAS)とは、睡眠中に呼吸が繰り返し止まる、または弱くなる状態が続く疾患です。医学的には、10秒以上の無呼吸または低呼吸が1時間あたり5回以上起こる状態を睡眠時無呼吸症候群と定義します。
睡眠中に呼吸が止まると血液中の酸素濃度が低下し、体はそれを補うために何度も覚醒を繰り返します。その結果、睡眠の質が著しく低下し、日中の強い眠気や集中力の低下を引き起こします。
睡眠時無呼吸症候群には主に以下の2種類があります。
-
閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)
→ 気道が狭くなることで呼吸が止まるタイプ(最も多い)
-
中枢性睡眠時無呼吸
→ 呼吸中枢の働きが低下するタイプ
日本では成人男性の約3〜7%、女性の約2〜5%が睡眠時無呼吸症候群に該当すると推定されており、潜在的な患者数は非常に多いと考えられています。特に肥満、中高年、いびきの強い方に多くみられます。
■ 主な症状
睡眠時無呼吸症候群の代表的な症状は以下の通りです。
-
大きないびき
-
睡眠中の無呼吸(呼吸が止まる)
-
日中の強い眠気
-
起床時の頭痛
-
熟睡感がない
-
夜間頻尿
-
集中力や記憶力の低下
家族から「**いびきが大きい」「呼吸が止まっている」**と指摘されて気づくことも多い疾患です。
睡眠時無呼吸症候群を放置すると、以下のような合併症のリスクが高くなります。
-
高血圧
-
糖尿病
-
心筋梗塞
-
脳梗塞
-
不整脈
また、日中の強い眠気は交通事故や労働災害の原因になることもあり、社会的にも重要な疾患とされています。
■ 診断に必要な検査
睡眠時無呼吸症候群の診断には、睡眠中の呼吸状態を評価する検査が必要です。
簡易睡眠検査(自宅検査)
自宅で装着できる小型の装置を用いて、睡眠中の呼吸状態や酸素濃度を測定します。比較的簡便に検査ができるため、初期評価として広く行われています。
終夜睡眠ポリグラフ検査(PSG)
医療機関で行う精密検査で、睡眠中の脳波、呼吸、酸素濃度、心電図などを詳しく測定します。睡眠時無呼吸症候群の重症度やタイプを正確に評価することができます。
診断では、無呼吸低呼吸指数(AHI)という指標を用いて重症度を分類します。
-
軽症:AHI 5〜15
-
中等症:AHI 15〜30
-
重症:AHI 30以上
当院では、問診や症状の評価を行ったうえで、必要に応じて自宅で行う睡眠検査の実施や専門医療機関との連携を行っています。
■ 主な治療方法
睡眠時無呼吸症候群の治療は、重症度や原因に応じて選択されます。
生活習慣の改善
軽症例では以下の改善が重要です。
-
体重減少(肥満の改善)
-
禁酒(特に就寝前の飲酒を控える)
-
禁煙
-
横向きでの睡眠
CPAP療法
中等症〜重症の患者に対して最も一般的に行われる治療が**CPAP(持続陽圧呼吸療法)**です。
CPAPは、睡眠中に鼻マスクを装着し、空気を送り込むことで気道の閉塞を防ぐ治療です。これにより無呼吸が改善し、睡眠の質が大きく向上します。
マウスピース治療
軽症〜中等症の場合には、歯科で作成する**口腔内装置(マウスピース)**が有効な場合があります。下顎を前方に出すことで気道を広げる仕組みです。
外科的治療
扁桃肥大や鼻閉など、解剖学的な原因がある場合には手術が検討されることもあります。
■ 予防や生活上の注意点
睡眠時無呼吸症候群の予防には、生活習慣の改善が重要です。
-
適正体重の維持
-
規則正しい睡眠習慣
-
飲酒量の管理
-
鼻づまりなどの治療
-
十分な睡眠時間の確保
また、以下のような方は睡眠時無呼吸症候群の可能性があります。
-
いびきが大きい
-
日中の眠気が強い
-
高血圧がある
-
肥満体型である
睡眠時無呼吸症候群は適切な診断と治療により、日中の眠気や生活の質を大きく改善できる疾患です。
いびきや日中の強い眠気、睡眠中の呼吸停止を指摘されたことがある方は、早めの受診をおすすめします。当院では睡眠時無呼吸症候群の検査や診療を行っておりますので、お気軽にご相談ください。