胃・十二指腸

胃ポリープ(胃底腺ポリープ・過形成性ポリープ・胃腺腫)

胃ポリープとは、胃の内側の粘膜にできる隆起性の病変で、「できもの」や「こぶ」のように見えるものを指します。多くは良性で、症状がないまま発見されることがほとんどですが、一部のポリープにはがん化する可能性があるものもあり、注意が必要です。

胃ポリープにはいくつかの種類があり、以下が代表的です:

  • 胃底腺ポリープ

     プロトンポンプ阻害薬(PPI)などの長期服用に関連しやすい小さなポリープで、がん化のリスクは非常に低いと考えられています。

  • 過形成性ポリープ

     慢性的な炎症によって胃粘膜が増殖してできる良性ポリープで、最も一般的です。多くは小さく、がん化のリスクは低いとされています。

  • 腺腫性ポリープ(胃腺腫)

     前がん病変とされることが多く、大きくなるとがん化の可能性があるため、定期的な経過観察または切除が推奨されます。

胃ポリープの原因には以下のようなものが挙げられます:

  • 慢性胃炎(特にヘリコバクター・ピロリ感染)

  • 胃酸抑制薬(PPI)の長期使用

  • 加齢や遺伝的体質

  • 家族性腺腫性ポリポーシス(稀な遺伝性疾患)

日本では、内視鏡検査(胃カメラ)を受けた方の約10~20%に何らかの胃ポリープが見つかるとされており、中高年の女性に多い傾向があります。


2. 主な症状

胃ポリープの多くは無症状で、健康診断や人間ドックなどの内視鏡検査で偶然発見されることがほとんどです。しかし、以下のような症状がみられることもあります:

  • 胃の不快感や痛み

  • みぞおちの張りやもたれ

  • 食欲低下、吐き気

  • 出血を伴う場合の黒色便や貧血症状

ただし、これらの症状は胃潰瘍や胃がんなど他の疾患でも起こりうるため、症状だけで自己判断せず、内視鏡検査による確認が不可欠です。

また、ポリープが大きくなると、まれに出血や幽門部の通過障害を引き起こすことがあります


3. 診断に必要な検査

胃ポリープの診断には、上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)が最も有効です。以下のような検査・診断の流れとなります:

  • 内視鏡検査(胃カメラ)

     胃の粘膜を直接観察し、ポリープの大きさ・形状・部位・色調などを確認します。疑わしい場合には組織を一部採取(生検)し、病理検査を行います。

  • 病理組織検査

     ポリープの良性・悪性の鑑別、ポリープの種類(過形成性、腺腫性など)を確定します。

  • ヘリコバクター・ピロリ検査

     慢性胃炎や過形成性ポリープとの関連が深いため、ピロリ菌の感染有無を同時に調べることが推奨されます。

診断後は、がん化のリスクや症状の有無に応じて、定期的な経過観察か切除治療を行うかが判断されます。


4. 主な治療方法

胃ポリープの治療は、ポリープの種類・大きさ・数・がん化のリスク・出血の有無などによって異なります。

  • 経過観察(定期的な内視鏡検査)

     がん化のリスクが低く、症状がないポリープは年1回程度の胃カメラで経過観察を行います。

  • 内視鏡的切除(ポリペクトミー、EMRなど)

     腺腫性ポリープや出血リスクのあるポリープは、内視鏡下での切除が推奨されます。日帰りで対応可能なことも多く、患者さんへの負担も少ないのが特長です。

  • 薬物治療

     PPI使用によってできたポリープでは、薬剤の中止や変更により縮小することもあります。また、ピロリ菌感染がある場合には、除菌治療によりポリープが縮小または消失することも報告されています。

泉胃腸科外科医院では、精密な内視鏡検査によりポリープの性質を正確に評価し、患者さまに最適な治療法をご提案しています


5. 予防や生活上の注意点

胃ポリープの完全な予防は難しいものの、その発生や進行を抑えるために以下のような生活習慣の改善が有効です。

  • ピロリ菌感染の有無を調べ、陽性なら除菌治療を行う

     特に過形成性ポリープがある方では、除菌によってポリープの縮小が期待できます

  • 胃に負担をかけない食生活を心がける

     ・過度な塩分や脂肪の摂取を控える

     ・暴飲暴食を避ける

     ・香辛料や刺激物の過剰摂取を控える

  • 喫煙・過度の飲酒を控える

  • 胃薬(特にPPI)を長期使用している方は、定期的に医師と相談

     必要以上の長期使用がポリープ形成と関連することがあります。

  • 定期的な内視鏡検査の継続

     ポリープの種類にかかわらず、定期的に経過を観察し、必要に応じて早期に対応することが重要です。


胃ポリープは多くの場合良性ですが、中にはがん化のリスクを伴うものもあります。

泉胃腸科外科医院では、内視鏡専門医による正確な診断と、患者さま一人ひとりに合わせた丁寧な治療方針のご提案を行っております。

健康診断で「胃ポリープを指摘された」、または「胃の不快感がある」という方は、お気軽にご相談ください。