頭部
脳梗塞
■ 疾患の概要
脳梗塞とは、脳の血管が閉塞し、その先の脳組織に血液が届かなくなることで脳細胞が壊死(梗塞)する疾患です。日本の死因上位を占め、生存しても重大な後遺症を残すことが多い重篤な疾患です。
発症機序によって以下の3つに分類されます。
・アテローム血栓性脳梗塞:動脈硬化による大血管の閉塞(高血圧・糖尿病・高脂血症が主因)
・心原性脳塞栓症:心房細動などの心疾患で形成された血栓が脳に飛来して閉塞(最重症型)
・ラクナ梗塞:高血圧による脳内の細い穿通枝動脈の閉塞
日本では年間約20万人以上が発症し、60歳以上の高齢者に多く見られます。高血圧・糖尿病・高脂血症・心房細動・喫煙が主な危険因子です。
■ 主な症状
脳梗塞の症状は梗塞部位によって異なりますが、代表的な症状は以下の通りです。「FAST」という覚え方が普及しています。
・F(Face):顔のゆがみ(片側の口角が下がる・顔の非対称)
・A(Arms):腕の麻痺(片腕が上がらない・落ちてしまう)
・S(Speech):言語障害(呂律が回らない・言葉が出ない・理解できない)
・T(Time):発症時刻を確認・すぐ救急車を呼ぶ
その他:片側の感覚障害・視野障害・めまい・歩行障害なども起こります。一過性脳虚血発作(TIA)は数分〜24時間以内に症状が消失しますが、脳梗塞の前触れであり同様に緊急対応が必要です。
■ 診断に必要な検査
・頭部MRI(拡散強調像):発症早期から梗塞巣を検出できる最重要検査です。
・頭部CT検査:出血との鑑別に用います(梗塞早期はCTで写りにくい)。
・MRA(磁気共鳴血管撮影):閉塞血管の同定に有用です。
・心電図・ホルター心電図:心房細動などの心原性塞栓源の検索
・頸動脈超音波:動脈硬化・プラークの評価
・血液検査:凝固系・脂質・血糖・炎症反応を評価します。
当院では心電図・頸動脈超音波・血液検査による危険因子評価が可能です。急性期の診断・治療は脳卒中専門病院への緊急搬送が必要です。
■ 主な治療方法
・急性期治療:発症からの経過時間や症状の強さによって血栓溶解療法、血管内血栓回収療法が適応となります。
・抗血小板療法:アスピリン・クロピドグレルなどによる再発予防
・抗凝固療法:心房細動による心原性塞栓症の再発予防にDOACを使用
・危険因子管理:降圧療法・血糖管理・スタチン療法
・リハビリテーション:早期から開始し機能回復を図ります。
当院では脳梗塞後の危険因子管理・再発予防薬の処方・定期的な頸動脈超音波評価を行っております。
■ 予防や生活上の注意点
・高血圧・糖尿病・高脂血症の厳格な管理(最重要)
・心房細動の早期発見と抗凝固療法の継続
・禁煙・節酒
・適度な運動・適正体重の維持
・抗血小板薬・抗凝固薬を自己中断しない
・脳梗塞の症状(FAST)を家族全員で覚えておき、発症時は直ちに119番
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