症状
背部痛
■ 背部痛を起こす主な鑑別疾患(全10選)
1. 大動脈解離
突然の激しい背部痛・胸痛が特徴で、痛みが移動することがあります。
高血圧のある50〜70代男性に多く、血圧の左右差・意識障害を伴う生命に関わる緊急疾患です。
【検査】造影CT、心エコー(経食道)、血圧左右差の確認。
2. 腹部大動脈瘤
拡大した大動脈瘤が破裂・切迫破裂すると、突然の激しい背部〜腰部痛とショックが出現します。
動脈硬化・高血圧・喫煙歴のある高齢男性に多く、速やかな外科的介入が必要です。
【検査】造影CT、腹部超音波、血圧測定。
3. 急性膵炎・慢性膵炎
上腹部から背部へ放散する強い痛みが特徴で、前傾姿勢で和らぐことがあります。
アルコール多飲や胆石が原因で、悪心・嘔吐・発熱を伴います。
【検査】血液検査(アミラーゼ・リパーゼ)、腹部CT、腹部超音波。
4. 腎結石・尿管結石
突然の激しい腰背部〜側腹部痛が特徴で、血尿・悪心・冷汗を伴います。
30〜50代男性に多く、脱水や夏季に発症しやすい傾向があります。
【検査】尿検査(潜血)、腹部CT(非造影)、腹部超音波。
5. 腎盂腎炎
腎臓の細菌感染により、腰背部の叩打痛・発熱・頻尿・排尿痛が出現します。
若い女性に多く、膀胱炎から上行感染することが多くみられます。
【検査】尿検査、尿培養、血液検査(白血球・CRP)、腹部CT。
6. 帯状疱疹(背部)
背部の片側に灼熱感・ピリピリとした痛みが先行し、数日後に皮疹が出現します。
50歳以上や免疫低下者に多く、早期の抗ウイルス薬投与が重要です。
【検査】身体診察(皮疹の確認)、必要に応じてウイルス検査。
7. 脊椎疾患(椎間板ヘルニア・脊柱管狭窄症・圧迫骨折)
椎間板や脊椎の変性・骨折により、背部痛とともに下肢への放散痛・しびれが生じます。
中高年〜高齢者に多く、体動や姿勢で症状が変化します。
【検査】脊椎X線・MRI、神経学的診察、骨密度測定。
8. 肺炎・胸膜炎
肺や胸膜の炎症が背部に痛みとして現れることがあり、発熱・咳・呼吸時痛を伴います。
高齢者や免疫低下者に多く、症状が不明瞭なこともあります。
【検査】胸部X線・CT、血液検査(白血球・CRP)、喀痰培養。
9. 胆石症・急性胆嚢炎
右季肋部痛が背部・右肩に放散し、発熱・悪心・嘔吐を伴います。
中高年女性に多く、脂肪食後に症状が悪化する傾向があります。
【検査】腹部超音波、血液検査(肝胆道系酵素・炎症反応)、腹部CT。
10. 筋筋膜性疼痛症候群(背部筋肉痛)
筋肉の過緊張や損傷により、広範囲にわたる背部の鈍痛・こりが続きます。
長時間のデスクワークや不良姿勢が誘因となり、全年齢に見られます。
【検査】身体診察(圧痛点確認)、必要に応じてX線・MRI。
■ 補足
背部痛は血管・脊椎・腎臓・消化器・肺・皮膚など多岐にわたる原因で生じます。特に突然発症の激しい痛み・血圧低下・神経症状・発熱を伴う場合は生命に関わる緊急疾患の可能性があり、速やかな画像検査が必要です。