上気道

インフルエンザ

■ 疾患の概要

インフルエンザとは、インフルエンザウイルスによって引き起こされる急性の呼吸器感染症です。通常の「かぜ」と比べて、高熱、全身倦怠感、筋肉痛などの全身症状が強く出ることが特徴で、重症化することもあるため注意が必要です。

インフルエンザウイルスは大きく分けてA型、B型、C型の3種類があり、そのうちA型とB型が流行の中心となります。特にA型は変異しやすく、世界的な大流行(パンデミック)を引き起こす原因となることがあります。

■ 発症の原因と流行の傾向

インフルエンザは、感染者のくしゃみや咳による飛沫感染、および手指や物品を介した接触感染によって広がります。ウイルスの潜伏期間は1~3日程度とされ、感染力は非常に強く、短期間で多数の人に感染が広がる傾向があります。

日本では、例年11月〜3月ごろにかけて流行します。特に12月末から2月にかけての冬季にピークを迎えることが多く、学校や職場など人の集まりやすい場所で集団感染が発生しやすくなります。

高齢者や小児、基礎疾患を持つ方では、肺炎や脳症などの合併症を引き起こすこともあるため、早期の診断と適切な治療が重要です。

■ 主な症状

インフルエンザの主な症状は以下の通りです。

  • 突然の高熱(38~40℃前後)

  • 全身の倦怠感、筋肉痛、関節痛

  • 頭痛、寒気

  • 咳、喉の痛み、鼻水などの呼吸器症状

  • 食欲不振、嘔気・嘔吐、腹痛(小児に多い)

通常の「かぜ」は徐々に症状が出現し、発熱も微熱にとどまることが多いのに対し、インフルエンザでは急激な発症と強い全身症状が特徴的です。

■ 診断に必要な検査

診断には以下のような検査が行われます。当院ではnodoca及び迅速抗原検査を施行できます。

  • nodoca(AI搭載インフルエンザ検査医療機器):
     のどの写真と症状からインフルエンザを診断します。のどや鼻をこする必要がなく、楽に検査を受けられます。
     迅速抗原検査に比べてより早期から診断が可能と言われております。A型・B型の判定はできません。
     必要項目を入力し写真を撮影したら直ちに結果が判明します。
  • 迅速抗原検査(インフルエンザウイルスキット)
     鼻腔や咽頭から採取した検体でウイルス抗原を検出します。15分程度で結果が出るため、診断と治療方針の決定が迅速に行えます。ただし、発症直後ではウイルス量が少なく、偽陰性になることもあります。

  • PCR検査
     より高感度で確定診断が可能ですが、通常の外来診療では迅速抗原検査が主に使用されます。

当院では、症状の経過や流行状況を考慮しながら、迅速かつ適切な検査・診断を行っております

■ 主な治療方法

インフルエンザの治療には、以下のような抗インフルエンザ薬による早期治療が有効です。
当院では下記の薬剤を取り扱っています。

  • オセルタミビル(タミフル®)

  • ザナミビル(リレンザ®)

これらの薬剤は、発症から48時間以内に使用することでウイルスの増殖を抑え、症状の軽減や合併症の予防が期待できます

その他、解熱鎮痛薬や咳止めなどの対症療法を併用しながら、安静・水分補給・栄養管理が重要となります。

※解熱剤には一部インフルエンザ脳症との関連が示唆されるものもあるため、医師の指示のもと使用する必要があります。

■ クリニックで提供できる対応

当院では以下のような診療・対応が可能です:

  • 発症早期からの迅速診断と抗ウイルス薬の処方

  • 患者様の状態に応じた症状緩和のための対症治療

  • 高齢者や基礎疾患を持つ方への重症化リスク評価とフォローアップ

  • 同居家族への予防投薬の可否の判断

  • 必要に応じた診断書の発行

■ 予防と生活上の注意点

インフルエンザの予防には、以下のような対策が有効です。

  • 毎年の予防接種(ワクチン)
     特に65歳以上の方や慢性疾患のある方、小児、医療従事者などは接種が強く推奨されます。

  • 手洗い・うがいの励行

  • マスク着用と咳エチケット

  • 十分な休養と栄養

  • 室内の加湿と換気

また、流行期に発症した場合は、周囲への感染拡大を防ぐため、外出や登校・出勤を控えることが重要です。


インフルエンザは「かかる前の予防」「かかった後の早期対応」が鍵です。流行期には体調の変化に注意し、少しでも異変を感じたら早めにご相談ください。

当院では、地域のかかりつけ医として、患者さま一人ひとりの症状に合わせた丁寧な診療を行っております。