小腸・大腸・肛門

急性腸間膜動脈閉塞症

■ 疾患の概要

急性腸間膜動脈閉塞症とは、小腸や大腸に血液を供給する腸間膜動脈が血栓や塞栓によって突然閉塞し、腸管が壊死(えし)に至る重篤な疾患です。発症から治療までの時間が予後を大きく左右するため、「腹部の心筋梗塞」とも呼ばれます。

主な原因は以下の通りです。

塞栓症心房細動や心臓弁膜症などにより心臓内に生じた血栓が腸間膜動脈に飛来して閉塞する(最多原因)
血栓症:動脈硬化を背景に腸間膜動脈内で血栓が形成され閉塞する
解離:大動脈解離が腸間膜動脈に及ぶ場合

心房細動心筋梗塞高血圧糖尿病などの基礎疾患を持つ高齢者に多く発症し、予後不良な疾患の一つです。


■ 主な症状

最大の特徴は突然発症する激しい腹痛です。初期は疝痛様(せんつうよう)の強烈な腹痛が現れますが、腸管が壊死に陥ると痛みが一時的に軽減する「不思議な静寂期」が生じることがあります。その後、腹膜炎が進行すると再び激しい腹痛・発熱・ショック状態となります。

・突然発症の激しい腹痛(疝痛様)
・悪心・嘔吐
・血便(腸管壊死が進行した場合)
・腹部膨満
・発熱・頻脈・血圧低下(ショック)

急性膵炎急性虫垂炎など他の急性腹症との鑑別が必要ですが、特に心房細動の既往がある高齢者で突然の激しい腹痛が出現した場合は、本疾患を強く疑う必要があります。


■ 診断に必要な検査

造影CT検査:最も有用な検査です。腸間膜動脈の造影欠損(血流途絶)、腸管壁の浮腫・壊死所見、腹水などを評価します。
血液検査:白血球増加・CRP上昇・乳酸値上昇(腸管壊死の指標)・D-ダイマー上昇などを確認します。
心電図:心房細動などの不整脈の有無を確認します。
腹部X線:腸管ガス像の異常(拇指圧痕像など)を評価しますが、確定診断には不十分です。

本疾患は時間との勝負であり、疑われた場合は速やかな造影CT検査が必須です。当院では疑わしい症状を認めた場合、速やかに高次医療機関へ紹介・搬送いたします。


■ 主な治療方法

治療は発症から治療開始までの時間と腸管壊死の範囲によって異なります。

血管内治療(カテーテル治療):発症早期で腸管壊死がない場合、カテーテルによる血栓溶解療法や血栓吸引術が選択されます。
外科的手術:腸管壊死が生じている場合は壊死腸管の切除が必要です。広範囲の切除となることもあります。
抗凝固療法:再発予防のためヘパリンやワルファリン、DOACなどの抗凝固薬が使用されます。

本疾患は緊急外科手術を要する疾患であるため、当院では疑わしい症状がある場合は直ちに高次医療機関と連携して対応いたします。


■ 予防や生活上の注意点

心房細動がある場合は、血栓予防のための抗凝固療法を継続することが最も重要な予防策です。
高血圧糖尿病高脂血症などの生活習慣病を適切にコントロールする
・禁煙・節酒を徹底する
・突然の激しい腹痛が出現した場合は、速やかに救急受診する

 


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