症状
動悸
■ 動悸を起こす主な鑑別疾患(全10選)
1. 心房細動
心房の無秩序な電気活動により、不規則で速い動悸・息切れ・胸部不快感が出現します。
高齢者・高血圧・心疾患既往のある方に多く、脳梗塞の重要なリスク因子となります。
【検査】心電図、ホルター心電図、心エコー、血液検査(甲状腺・凝固)。
2. 期外収縮(上室性・心室性)
心臓の異所性興奮により、「ドキッ」とした動悸や脈が飛ぶ感覚が出現します。
全年齢に見られ、ストレス・カフェイン・過労・飲酒が誘因となることが多いです。
【検査】心電図、ホルター心電図、心エコー、血液検査(電解質)。
3. 狭心症・心筋梗塞
心筋虚血により動悸・胸痛・冷や汗・息切れが出現し、不整脈を合併することもあります。
高血圧・糖尿病・喫煙歴のある中高年男性に多い緊急疾患です。
【検査】心電図、心筋マーカー(トロポニン)、心エコー、冠動脈CT。
4. 心臓弁膜症
弁の狭窄・閉鎖不全により心臓の負荷が増大し、動悸・息切れ・浮腫が徐々に出現します。
高齢者・リウマチ熱歴のある方に多く、心雑音が診断の手がかりとなります。
【検査】心エコー、心電図、胸部X線、BNP。
5. 心不全
心臓のポンプ機能低下を補うために頻脈が生じ、動悸・息切れ・倦怠感・浮腫が出現します。
高齢者・高血圧・心疾患既往のある方に多くみられます。
【検査】心エコー、BNP、心電図、胸部X線、血液検査。
6. 甲状腺機能亢進症(バセドウ病)
甲状腺ホルモンの過剰分泌により代謝が亢進し、動悸・頻脈・体重減少・発汗・手のふるえが出現します。
20〜40代の女性に多く、眼球突出・甲状腺腫を伴うことがあります。
【検査】甲状腺ホルモン(TSH・FT3・FT4)、抗TSH受容体抗体、甲状腺超音波、心電図。
7. 貧血(鉄欠乏性・溶血性)
ヘモグロビン低下による酸素供給不足を補うために心拍数が増加し、動悸・息切れ・倦怠感が出現します。
月経のある若い女性・消化管出血のある方に多くみられます。
【検査】血液検査(Hb・血清鉄・フェリチン)、便潜血検査、骨髄検査(必要時)。
8. 低血糖・糖尿病
血糖値の急激な低下により交感神経が賦活化し、動悸・冷や汗・手のふるえ・意識障害が出現します。
インスリンや血糖降下薬使用中の糖尿病患者に多くみられます。
【検査】血糖測定(即時)、HbA1c、服薬・食事歴の確認。
9. パニック障害・自律神経失調症
強い不安・恐怖感に伴い、突然の激しい動悸・息苦しさ・胸痛・めまいが出現します。
20〜40代の女性に多く、器質的心疾患を除外した後に診断されます。
【検査】心電図、ホルター心電図、血液検査(甲状腺・貧血)、問診・心理評価。
10. 高血圧・電解質異常(低カリウム血症)
血圧の上昇や電解質バランスの乱れが心臓の電気的興奮性を高め、動悸・不整脈が出現します。
利尿薬使用中の高齢者・過度のアルコール摂取のある方に多くみられます。
【検査】血圧測定、血液検査(電解質・腎機能)、心電図、ホルター心電図。
■ 補足
動悸は心臓・内分泌・血液・精神・代謝など多くの原因で生じます。特に失神・胸痛・息切れ・意識障害・冷や汗を伴う場合は、心筋梗塞・重篤な不整脈・心不全など生命に関わる疾患の可能性があり、速やかな心電図検査と精密評価が必要です。